どうもハジメです。今回はあの名作シリーズ。バイオハザードre2 をプレイしてみたので、開発者目線で徹底解説してみたいと思います。
また。今回の解説に際しては、レオン編のスタンダードを一度クリアした状態の知識で解説することになります。また、完全初見というよりは解説動画などもみながら急いでクリアした勢です。
そして、解説する内容に関しては、主にサバイバルホラーの代名詞と言われるバイオハザードの何が、サバイバルホラーたらしめているのかを、バランス設計の部分を中心に解説出来ればと考えています。
- 目次
- ハンドガンの弾を基準にバランス設計
- 難易度調整とプレイヤースキル
- 救済策・回復アイテム・所持枠
- ショットガンとマグナムの設計
- だからこれが嬉しくなる
- まとめ
1 ハンドガンの弾を基準にバランス設計
皆さんもバイオハザード1,2,3,7とre2 などをやったことがある方は、弾の貴重さが身にしみて感じながらプレイすることが多いのではないでしょうか?
ハンドガンの弾を見つけた時やストックの弾が増えていくと嬉しく感じませんか?
そこにサバイバルホラーのロジックのベースが隠されています。
その中核を占めているのが、ハンドガンの弾数とゾンビの数(耐久)です。

このバランスが絶妙に生きるか死ぬかを演出させています。
ここから一歩、踏み込んで。
では。このようなバランスを生み出すために開発者は何に気をつけてバランス調整をしているかを紹介したいと思います。
作る順番や調整の基準の置き方はそれぞれあると思いますが、一旦わかりやすく紹介します。
まず調整するにあたり何か一つを基準に置きます。
今回はゾンビ一体を倒すのに必要なハンドガンの弾数を基準にします。
例えば今回のre2 のスタンダードのバランスだと6発必要だとします。(ある程度のプレイスキルで変動。)
そこで、ゾンビの数とハンドガンの理論上の数を決めることができます。
今回のre2 の警察署の最終的なハンドガンのドロップ数は150発あたり。

つまり倒せるゾンビの数は約25体前後となります。
ステージ設計をする際に、倒しておかないといけないゾンビの数は少なくともこの数値から大きくなりすぎないように気をつける必要が出てきます。
2 難易度調整とプレイヤースキル
さらに、難易度調整に踏み込みます。
クリティカルとプレイヤースキルの数値化。
仮にクリティカルを10%で発生する。さらにエイムも常に安定するわけではないので、70パーセントの確率で頭に当てられるとする。

つまり、開発が想定した理論値はこのぐらいの精度のエイムをプレイヤーに要求することになります。
この数字を維持するプレイヤーは理論上の撃破数になりますが、60パーセントに下がると、9回のクリティカルと15体分の撃破。50パーセントに落ちるとさらに下がります。
このようにどこまでのエイム力はプレイヤーに要求して
どこまではセーフティに作るかのバランスがゲームごとに設定されています。
このバランス設計を最初にある程度の行った状態で、個別の配布やマップへのレベルデザインをして、再調整に入るとよいと思います。
3 救済策・回復アイテム・所持枠
今作には、窓枠に木の板を配置したり、ガンパウダーを配布したりすることで、ゾンビの発生を抑えたり、そもそもの弾薬を補充することが出来る。
さらに細かいバランスとして、
おそらく意識的に弾薬が尽きるぐらいギリギリのゾンビを登場させては、弾薬のドロップが見つかる。の小さな山が繰り返しあるイメージです。
ドロップの弾薬全てが同じ弾数ではなく、場所ごとにたまの数を適度に調整しているあたりは、このギリギリのサバイバル感を演出するためだと思われます。
回復アイテム
弾薬と並列してバイオに登場する重要なアイテム。ハーブや救急スプレーがありますね。操作ミスや唐突に登場するゾンビなどの生き物をノーダメージで戦い抜くのは難しいですよね。
そもそものバランスとして、プレイヤーの攻撃を食らっても敵は基本ノックバックせずに、こちらに向かってきます。接近しきるまでに倒せないとほぼ確定でダメージをくらいます。
この仕様の下支えがある上で、HPにまつわるサバイバル感が作り上げられています。
所持枠
サバイバルホラーを構築する上でもう一つ重要な要素。所持枠の厳しさがあります。護身用の攻撃武器と生存維持のための回復役を持った状態でステージクリアを要求されているので、その他の攻略用のアイテムが持てなくなることも経験したことがあるでしょう。

なので、経験者なら覚えがあると思いますが、たくさんの回復薬を持って探索を進められないようなバランスを成立させています。
4 ショットガンとマグナムの設計
ハンドガンが出来ればあとはショットガンとマグナムのバランス設計ですね。皆さんもゾンビには極力使わずに、強力な生き物やボスに使いたいとまず思うと思います。
こちらも同様です、今作だとリッカーやG成体などとボスであるウィリアムを倒すためのバランスを軸に調整されていると思われます。
まずは、ゲーム全体でドロップとして配置されている。数は以下のようなボリューム。

さらにざっくり撃破に必要なそれぞれの武器に合わせた弾数の理論値は以下の通りとする。

第3携帯のGへもこのような理論値のボリュームだとします。

ドロップだけで手に入る弾薬のボリュームから、必須で戦う必要があるGの撃破に必要な段数を引きます。
その残りのショットガン、マグナムを理論値上で倒せるキャラクターはリッカー3体分とG成体1体程度となります。

こちらも同様にエイムの難易度調整の余地を残すことになりますので、実際はもっと消費することが想定されます。それでなくても強力な敵キャラですので、プレイヤーの緊張感が高い状態で戦うので、余計に消費する可能性は高いと思われれます。
こちらも残りのバッファー要員として、ガンパウダーやスルーをして弾薬を節約することが必要になってくると思われます。
5 だからこれが嬉しくなる
クリティカル自体が出た時
基本的に弾薬は大切したいと思っているプレイヤーにとって、クリティカルは弾薬の節約と素早い敵の殲滅という点でかなりメリットがあるように感じるはずです。
ナイフでトドメ
今回はナイフ自体に耐久が入っているのでかつてほどじゃないにしても、ゾンビを倒してからナイフで倒しきると弾薬を節約できた嬉しさがあると思います。
ボスで弾を最小限にする
理論値上の計算では所定の武器を使わずに攻略がいくつか用意されていますね。ナイフで切りつけたり、手榴弾をうまく活用したり。その分で弾薬が節約してボスを攻略できると倒せただけ出なく、嬉しく思えるようになるはず。
所持枠が増える
今回もありましたが、追加アイテムボックスのアイテムを見つけたときも、この厳しい所持枠が増えるイコール、攻撃用の装備を多めに持てたり、回復薬を多めに持てる。あとは、いちいちアイテムボックスに戻らなくていいという嬉しさもありますね。
6 まとめ
これらの要素によってバイオハザードのバランス面は設計されていると考えられます。
最終的な調整の着地点としては、そのバランスでストレスを与えすぎず、上手く行った時の満足感をどのように体験させるかに尽きます。
今回のバイオハザードの場合は、難易度自体を引き上げて。随所に救済処置を入れつつ、クリアしたり上手くできた時の満足感をあげようとした意図が、仕様や調整から感じ取れます。
クリエイターの皆さんも調整一つにしてもどのような体験をしてもらいたいかをイメージしていると、最終的なバランス調整も自ずと見えてくると思います。
開発に関係ない人も是非、出来上がりのいいゲームの調整ほど、どれほど試行錯誤しているか分かっていただければ幸いです。